再会と追憶と【後編】

親友と同じ相手を好きになる、
それはよくある話。
だが。
本命に近づかんがため、
本命をもっとよく知るため、
その野望の過程で
本命の親友に惚れられてしまう、
そんな体験は後にも先にもこれだけ
・・・じゃないけどまいっか(歴史は繰り返す)。
で、隣の子は向こうから俄然話しかけてくるようになった。
当の私は、
その子経由で、あの娘の情報がスルスル入ってくるので、
無邪気に喜んでいた。
彼女が好きな本、聞いている曲、見ている番組…。
悉くチェックしていった。
バスケはあまりうまくならなかったけれど、
サッカーで彼女に注目されたかった。
練習にも身が入った。
破滅が待ち受けているとも知らずに。
終わりはいつも突然だ。
幸せとは続かぬもの、儚きもの。
いつものように、
部活の後、帰途に就こうとしたその刹那。
「ちょっと待って」
おーっと、ちょっと待ったコールだァァ(死語)。


私を呼び止めたのは、
バスケ部の姉御肌の女。
どこにでもいるじゃないですか。
他人の色恋沙汰に首を突っ込みたがる、
でしゃばり女が。
ヤツは、私の臨席の女の代理で現れたのだった。
「ねえねえ、ちょっと話したいからこっち来てくれる?」
なんて強引な。
今の私ならそう思う余裕もあったろう。
だが。
弱冠13歳の青二才に、
そんな事務処理能力がある筈も無く。
現地には、
件の隣席娘と、
それを見守るバスケ部一堂。
なんだオマエラ!!!!
見世物かこれは。
エドサリバンショーか?
バスケ部の中には、
もちろん、あの娘の姿も。
真っ白になっていく
視界の端に、彼女の美しき眼差しをかろうじてとらえながら。
私に立ちはだかるのは、
おせっかい女と、隣席娘。
こいつらバカなのか?
この状況を作ることにより、
私に断れないよう仕向けたつもりか?
進むも地獄、戻るも地獄。
これなら炎天下の練習の方が圧倒的に余裕だ。
13年間の人生で、
最大の決断を迫られた。
断れば、、、
その瞬間から女性陣には総スカンを食う。
もちろんあの娘にも嫌われる。
受け入れれば、、、
その瞬間から男性陣にネタにされる。
もちろんあの娘への想いは永遠に闇の中へ。
どうする?
アイフル?
というシャレにならない状態。
チワワに見つめられた方がどれだけ楽かと。
そこで私が下した決断は。
→再会と追憶と【後編2】へ続く

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