またオマエは騙された訳だが。マッチスティックメン

誤解を恐れずに言えば、
騙されたことのないひとなどいない。
それは親兄弟かもしれないし、
恋人(と思っていた人間)だったり、
あるいは心酔する著名人だったりするだろう。
かくいう私も、異性にはよく騙される。
いい意味と悪い意味と両方あるが。
学習能力がないのだろうか、
いつまでたってもこの点は進歩が無いようだ。
今回の主役はニコラス・ケイジ。
芸術的に相手を騙す、マッチスティックマンなどと
うそぶく腕利きの詐欺師だ。
前回見たアダプテーション同様、
ニコラス・ケイジは
「一芸に秀でるけれどそれ以外はまるでダメお」
な役が見事にハマる。
あんたすげえよ。ただのハゲじゃねーよ。


見終わって、
「あ、マッチスティック[メン]じゃん」と
気づいた。
複数名からなる詐欺グループに、
ニコラス・ケイジだけでなく
私もすっかり騙されちまった。
作品全体は好きな雰囲気に覆われていいかんじ。
だが、ラストはあれでいいのか?
ちょいと釈然としない思いを抱きつつ
劇場をあとにしたのであった。
よく、愛されるより愛したいと
のたまう輩がいる。
では、騙されるより騙したい、と言ったらどうなるか。
そりゃダメって言われるよなあ、やっぱり。
でもたまには、騙す側に回って
1杯食わしたいですよね。
それでは、罪の無い嘘、あるいは許される嘘、というのは
どのレベルまでなのだろうか。
相手のことを思ってつく嘘はOKなのか。
誰も不幸にならないのならば、嘘は許容されるべきなのか。
「他に好きな人ができたの」と
「性格が合わないからさようなら」、
「カラダが合わないからサヨウナラ」。
別れの言葉としてどれが一番ショックだろうか。
優しい嘘なんて、それを言う側の自己欺瞞、
免罪符にすぎないのかもしれない。
結局誰もが傷付きたくないんだよな。
とはいえ、ときに流れに逆らわなければ
人は前に進めない。
冷め切った関係を続ける理由に
「相手への情」を
挙げる奴がいる。
でもそれは、
自分に対する情、
もっと言えば、
その相手をかつて愛した自分への情なのだろうね。
それが壊れてしまえば、
過去の自分を否定することになるのだと、
深層心理に染み付いているから。
でもそこを越えずに
本当の明日を迎えることなどできはしまい。
逃げるな。
相手ではなく、自分と向き合えるその日まで。
自戒込み。

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ニコラス・ケイジ

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