タッチレス入力装置とジェスチャ・コマンド
この記事をピックアップしたのは、ジェスチャーコマンドはどうでも良くて。
ソノラマ文庫『猫の尻尾も借りてきて』の作品中に出てきた音声コンピュータ”ニタカ”を例にだして、音声入力コマンドの説明をしていたからだ。僕の好きな小説のひとつ。このSF小説は面白いので読むことをお奨めする。
降り続く雨が中庭の蘇鉄の葉をたたいている。村崎史郎は、それを窓越しにぼんやりと眺めていた。一九九五年七月十九日の夕方のことだ。
「どうして女性に年齢をきいてはいけないんだろう」
そうつぶやいたとき、「ニタカ」が、ピッと短く音をたてた。ニタカというのは、人工知能型のコンピューターのことで、研究所内にあるデータ・バンクとつながっている。
史郎は軽く舌打ちした。
「音声入力ができるのはいいけれど、独り言にまで反応するのが欠点だな」
【MYCOM】
猫の尻尾も借りてきて | |
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久米 康之
朝日ソノラマ |
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