宇宙の話をきいてきた

GIZMODOと学研がコラボしたイベントにいってきたムー

夜空からはじめる天文学入門」などで知られている、国立天文台教授の渡部潤一さんの話が意外に面白かった。氏曰く最近、似たような名前の有名人が多すぎて困っているそうだ。

つい先日、出版した本の翻訳依頼メールがベトナムから来て喜んでいたら【失楽園】の渡辺淳一氏宛のメールでぬか喜びだったり、検索エンジンで自分の名前を検索すると「もしかして渡辺淳一をお探しですか」と間違いを指摘されたり、同音異字のミュージシャンのCDアルバムをアマゾンで見つけたりするそうだ。

CDの場合は即座に購入することで、上手くストレスを発散できたみたいだ。ちなみに翻訳依頼の話のオチは、失楽園の出版部数300万部と、自分の本の出版部数には天文学な数字の開きがあるというものだった。

そんなファニーな渡部氏が説明する、「地球外知的生命体は存在するか?」という問題に天文学からアプローチする方法が次の5つだ。

  1. 生命をはぐくむ材料はあるか?
  2. 水はあるか?
  3. 地球のような水の惑星は他にもあるか
  4. 水があれば生命は簡単に発生するのか?
  5. どの生命でも進化し文明をもつのか

生まれては消え行く星々が宇宙に様々な元素を生んでいるそうだ。鉄が超新星爆発の時に核分裂でウランになったり、静かに死んだ星から酸素、窒素、炭素などの元素が生まれる。そこに、宇宙の創世記から存在した水素が合成され水が発生した。ちなみにハレー彗星は、その構成成分の80%が水で出来ているそうだ。だから生命を育む水は宇宙に常に存在している。なので、1,2の疑問の答えは「YES」だ。

生命の材料も星が作っている。星は水素から他の元素を合成しながら輝いてる(熱核融合反応している)。やがて星は年老いていく。そして赤くて大きな星(赤色巨星、赤色超巨星)になる。芯が残って、あとは雲散霧消(白色矮星)する。また、ブラックホールができて超新星爆発するかもしれない。

星の末期に鉄が出来過ぎると、惑星はその重みに耐え切れずに核爆発する。そのときの核分裂で鉄にエネルギーが与えられ、鉄よりも重い金とか銀、ウランとかが生成される。最も早く超新星爆発しそうな星がオリオン座のべテルギウスで、1万年以内には爆発すると考えられている。

同様に46億年前に僕たちの太陽系も生まれた。その材料は以前に存在した星が爆発し、その星のかけらが集まって生まれたのだ。

ちなみに太陽系の惑星のうち地球以外で住めそうなところを探してみると、金星の表面温度は470度で、気圧は90気圧もあるから水が存在できない。ちょっと太陽から遠い火星の表面温度は平均55度で気圧が0.007気圧なのですぐに水は沸騰してしまうから無理。こと太陽系に関しては、地表上に水をもつ惑星はなさそうだ。しかし、木星の衛星エウロパには地下の海があることがわかっている。

最近の調査では太古の火星には水があった可能性があるそうだ。ちなみに、地球から太陽までの距離は1億5千万キロ。太陽が「ピカっ」と光ってから地球に到達して嫁が「あたたかーい」と感じるまでの到達時間は8分だ。

じゃー、太陽系以外にもハビタブルゾーン(太陽からの距離がちょうどよい場所)は存在するのというと、なかなか難しい。

この広い宇宙には、地球のような水の惑星はかなりあると考えられているが、地球の場合はビックバンから、約10億年後に生命が発生していた。地球から一番近いハビタブルゾーンがてんびん座にあるグリーゼ581dだ。しかし、グリーゼ581dにたどり着くためには、現在のロケット技術では地球を出発してから、到着までに30万年もかかってしまう。1万人の乗組員達が1000世代かけて宇宙船で暮らさなければならない。こう数字をみると現実感があるなー。

じゃー水が存在して生命が存在していた場合でも、人類のように進化して文明を持つことができるのだろうか?

それをやっているのが地球外知的生命体探査のSETI(Search for Extra-Terrestrial Intelligence)。宇宙から発信されている電波を巨大アンテナで受信して即座に解析、電波を発信している文明を探す。逆に地球から電波を送信して、知的生命体に対して人類の存在を訴えかける手紙も送っている。

天文学者のドレイクが提唱した宇宙に存在する知的文明の数を推定する「ドレイクの方程式」によると、この宇宙には10,000個の知的文明が存在すると考えられている。SETIで有名なカール・セーガンは1,000,000個。天文学者と敵対する生物学者に至っては、この宇宙に存在する人類は地球のみと極めて悲観的な意見を述べている。

しかし、楽観的に考えればアンドロメダ座にある惑星の数は3千億個もあるのだから、その内の1%の確立で文明が存在すると仮定すると3千万個の地球型惑星があるかもしれないのだ。

ちなみに、今回のイベントの本当の目的は4月に発売する学研の3DSソフト「Earthpedia」を買ってよねというお話だった。

最後のQ&Aから抜粋

Q 太陽に寿命があるそうですが、いつ消滅しますか?
A 100億年後。

太陽が死ぬときは、膨れて地球が死ぬ。こえー
宇宙が生まれてから45億6千万年経っている。54億年後には太陽が膨張して、
地球は灼熱になって大気がなくなり人類全滅となる。

Q 暗黒物質、エネルギーのことはどのくらいわかっていますか?宇宙の広がりはどこかで限界が来るのですか?また、宇宙が広がっても星と星の間は広がりませんか?

A 宇宙に存在するダークマターには面白い性質があって、空間が2倍になるとエネルギーも2倍になる。しかし、それでもビックリップと呼ばれる宇宙に裂け目が出来て、星と星の間が広がり宇宙が崩壊すると思われる。

Q ビッグバンの前は何があったのですか?
A ビッグバン以前は時間が存在しなかったので、何もなかったと考えられる。正直わからない。

Q 今の時間の中に平行世界がある可能性はありますか?

ビッグバンが同時多発的に起きたと仮定すると、見えない場所で宇宙が生まれたと思われる。しかし平行世界同士が通信できないので、実証できない。

清水建設の月に太陽発電基地「ルナリング」を作り地球にエネルギーを電送するという計画も、なかなか狂っていて面白そうだった。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です